私は家に帰るとクローゼットの奥から1冊のアルバムを探し出す。



小学校の卒業アルバム。

私と同じページに「清瀬優翔」くんがいた。



小学生にしては少し大人っぽい甘いマスクの彼。

そう言えば友達の中にも清瀬くんが好きだと言う子が何人もいた。
ようやく幽かな記憶が蘇る。

昔から長身で、バスケやサッカーが得意で、女の子にモテて、男の子からも人気があって。

でも私はあんまり話したこともなかった彼。



そう言えば天体観測会の夜、



「舞奈、俺とずっと一緒に…星見てねぇ?」



と言われた気がする。

数少ない彼との会話。



もしかしてあれが告白、だったのかな?



きっと子供の私は気付かずに

「無理。家帰んなきゃだから。」

なんて返したんだろう。



「…無理だよ。」



私はまたアルバムをクローゼットの奥にしまい込んだ。

     *  *  *