街灯の灯りが滲んで見える。



「…幸せじゃなくて、いいの。



ただ好きでいたいの…先生のこと。」



「先生?」

清瀬くんが訝しげに聞き返す。



「だったら尚のこと。

止めとけよ、お前のこと好きだって言えない奴なんて。」

清瀬くんの言葉に力がこもる。



「俺にしとけよ。」

「…無理だよ。」

「2度も俺を傷付ける?」

「……」

「ごめん。

でも、本気だから。」



清瀬くんがそっと私から離れる。

そして今度は私の脇にしゃがみ込み、ブランコの鎖を握る私の手に彼の手を重ねて俯く私を覗き込んだ。

清瀬くんのチャラい第一印象から一転、真剣な瞳に戸惑ってしまう。



「そんな顔すんな。」

「……」




清瀬くんは溜め息を吐く。

それから私から視線を離すと、私の手の甲に重ねた掌の力をきゅっと強めて少しの間何か考えるように遠くを見つめていた。

そしてやがて掌をそっと離して立ち上がる。



「一週間。俺と付き合ってよ?好きな奴のこと、忘れさせてやる。

俺、本気だよ?

だから、考えといて。」



清瀬くんが私に手を差し出す。

「行こう。」



私は清瀬くんの手は取らず立ち上がる。



清瀬くんはそれ以上何も言わず家の前まで送ってくれた。