改札を抜けて私はようやく口を開く。



「ここまででいいから。そんな遠くないし。」

「どうせ俺んちお前んちの向こう。」

「……」



結局また清瀬くんの隣を歩く。

私は落ち着かない気持ちで清瀬くんをちらりと見上げた。



街灯が清瀬くんの瞳と明るい髪を照らし煌めかせている。

それは存外に綺麗で、きっと学校でも女の子に人気があるだろうな、と思った。



「なぁ舞奈。」

清瀬くんが私を呼ぶ。

「覚えてない?6年の夏の天体観測会のこと。」

「天体観測会?」

「お前に告白した。」

「!!」

「気になる?」



そう言うと清瀬くんは通りがかった児童公園に入って行く。

私もそれを追い、ブランコに腰掛けた清瀬くんに倣って隣のブランコに座った。



「まぁ何てことない話だよ。

流星群が来ててさ、めっちゃ綺麗で思わず勢いでお前に告って。

で、あっさり撃沈、って話。」

清瀬くんはこちらに向かってはにかむように微笑む。

その表情は大人っぽい顔立ちが少し幼く見えた。



清瀬くんのどこか切なげな微笑みは、記憶にないこととは言え、それは私のせいなのだと思うと申し訳なくなる。