「ユウトぉ!」

その時、先程の華やかな一団が教室に入ってきた。



「帰ろうよー。」

「なぁ、マック寄ってくだろ?」

彼等が清瀬くんを取り囲む。


「あー悪ぃ、先行ってて。」

「えっ?なんで?」

「俺コイツと話あるし。」

清瀬くんが親指で私を指した。

「!?」



彼等が一斉に私を見る。

「誰?」



「6年ぶりの幼馴染み。



で俺、コイツの初めての男。」



「はぁっ!?」



驚く私に相反して、一団はどっと笑った。



「うゎ。ユウト、サイテー!」

「ガキの頃からマジヤバいんだけどぉ。」

「女遊びも大概にしとけよー。」



彼等はころころと笑いながら

「じゃーねーユウト。」

「頑張れよ!」

等と言いながら教室を出て行く。



一方私は清瀬くんに詰め寄った。

「ちょっと、どういうことよ!適当なこと言わないで!!」

「あー間違えた。」

「はっ!?」

「俺お前の初めての『男友達』の間違えだった。」

「なっ…!?」



さらりと適当なことを言う清瀬くんに苛つかせられる。

が、当の清瀬くんは涼しい顔をしている。



「なぁ。次の授業始まるけど?ここ出た方がいいんじゃないの?」

そう言って清瀬くんは私の腕を掴んで椅子から引き立てた。



「いっ!言われなくても帰ります!」

清瀬くんの手を振り払うと、コートを羽織りながらドアに向かう。

その後ろを清瀬くんが付いてくる。



「まだ何か?」

「いや、俺も帰るから。」

「……」



私はぐっと歯噛みして清瀬くんを睨むと、廊下を小走りで抜けた。