それから俺は南条のためになればと、中学生向けの職業紹介本を買い与え、自己分析のために市営図書館に誘った。



南条を助けることは俺自身を助けることでもあった。

なぜなら南条は俺の救いだったから。



そしてまた、南条に頼られることが俺がここに存在している価値を確認できる唯一の手立てでもあった。



俺は「南条のため」と言い訳しつつ、もしかすると「俺自身のため」に南条を助けていたのかもしれない。

南条への愛のようであり、ただの馴れ合いのようでもあり、はたまた自己愛のようでもある歪んだ関係だったように思う。