「眩し…」



そう言った南条の眼から涙の一しずくがキラリと落ちた。



「南条…?」



俺は無意識に彼女の頬へ手を伸ばしていた。

そしてそっと指の背で濡れた頬を拭う。

フラジャイルな物に触れるように、そっと、そっと…



南条の瞳から涙が溢れ出す。

溢れた涙は木漏れ陽を受けておびただしい光の欠片となって散り、彼女のスカートの上に落ちて濡らしていく。



「ごめん。」



泣かせてしまったことを謝ると、南条は黙ったまま首を振った。

涙の粒が振り散らされる。



南条は掠れる声でぽつぽつと言った。



「今まで誰も、私の夢なんて、考えてくれたことなかったの。

私…自身でさえも。」