「国大…」

「へー。優秀じゃん。」

「…行く気ないけど。」

「え?志望校でしょ?」

「親のね。」



(…?)



「じゃあ…南条が行きたい学校はどこ?」

「んー…ないかな?」

「ないの?」

「…うん。」




更に続く南条の言葉は意外なものだった。




「国大も親の希望で受けるけど、上手いことギリギリで落ちるつもり。

そのくらいのテクニックができるくらい国大の模試も点数良いし。」





俺はようやく南条のあの大人びた冷めた憂いの正体が掴めた気がした。




あぁ、君は『良い子』過ぎたんだ。

期待に応えることが当たり前過ぎて、抗うことも疑問を感じることも教えられずに生きてきたんだ。



そして、誰かに頼ることさえも君は知らないままずっと耐えてきたんだね。

頼っていいよ。

誰を?

例えば…



俺…だったり…