咄嗟に南条に眼を向ける。

至近距離で交わる視線。

切れ長の潤む瞳。

きりりと大人びた彼女の表情。

元より綺麗な彼女の容貌が、いっそう大人の女性の美しさを醸して見えた。




「南条…?」

彼女の名を口にする声が掠れる。




「ね?」

ふわりと微笑んで俺から離れる南条。




俺は無意識にその左肩を掴んで引き寄せていた。



『そんなこと気にしないで。

不可抗力なんてよくあることじゃん。

気にしてたらこの仕事やってけないよ?』─



ずっと気にしてた。

これでいいんだろうか?って。



小さな失敗をする度に落ち込んでた。

こんなんじゃダメだ、って。



頑張っても頑張ってもその評価は

「先生可愛い~」

で、この仕事は俺に向いてないんだと思ってた。

いや、今でも思ってる。



けど。



頑張ってる中での失敗は不可抗力で、どうにもならないものは気にしてもしょうがないわけで。

気にしてたら前に進めないわけで。

だったら気にしてる暇があったら前に進むことを考えた方がいいわけで─