「ごめんな。やっぱ南条に手伝わせなきゃ良かった…」
花火の火付け役なんか南条にさせるべきでなかった。
なんで俺はそんなことをさせてしまったんだろう…
自分に腹が立って、唇を噛む。
「ううん、私が勝手にやったから。」
「それを監督するのが俺の仕事なのにな…」
情けなくて深い溜め息が出る。
遠くから僅かに生徒達の黄色い声が風に乗って聞こえるばかりの静かな宿舎の陰。
ひとつきりの電球の灯りに蛾が舞っている。
蛇口を捻るとコンクリートの流し台にパチパチと飛沫が跳ねる。
「ごめんな…」
俺の監督不足で南条を火傷させてしまった…
腫れた白く小さな手を見つめる。
その時。
俺の掌の中を南条の手がするりと抜けた。
「!」
逃れた南条の手が俺の左腕を掴む。
「南条?」
背伸びした南条が俺の横顔に囁く。
「そんなこと気にしないで。
不可抗力なんてよくあることじゃん。
気にしてたらこの仕事やってけないよ?」
「!!」