さて。



俺の後ろには取り残されている女の子ひとり。

俺は彼女を振り返る。



黒髪、白肌、黒い瞳。



(高校生…だな。)



デニムシャツにカーディガン、膝上丈のフレアスカート。

ナチュラルな眉と粗のない肌からメイクが無縁なのが分かる。

今どきの高校生にしては少し地味な女の子。



でも分からないオーストラリア訛りに果敢に挑む様子は…



(グッジョブだよ。)



彼女の勇気を称えたくて話し掛ける。



「君…いいね。」



彼女は瞳を見開き、俺を見上げる。

若々しい穢れのない瞳。