「ここまで来たらひとりで帰れる?」

「うん。

家、もう見えてるし。」

「ん。」



先生の唇が小さく微笑む。



晩秋の夕暮れは早く、辺りはすっかり仄暗い。

暗さが別れの切なさを際立たせる。



「じゃ、また学校でね。」

「あぁ。」



先生に小さく手を振り、背を向け歩き出す。



「南条!」


途中まで歩いたところで、私を見送っていた先生の声が追い掛けてくる。

振り返ると先生が声を張って言った。



「いつでもまた準備室来いよ!」



私はできる限りの一番の笑顔で大きく頷く。



当たり前じゃん。

私、妹だもん。

これからも先生に逢いに行くよ?

遠い未来も、ずっと─


     *  *  *