そう。
そんなつもりで言ったわけではなかった。

でもその瞬間、なんとなく私の「反抗期」が頭をもたげた。

私はにやりとして呟く。



「だって先生実際可愛いもん…」



私の言葉に先生はもう一度溜め息を吐いて、



「可愛い扱いは止めなさい…」



と言った。



先生は怒っていたのかもしれないけれど、その爽やかで甘い声は全く怖くない。

むしろその少し眉を寄せて、唇を尖らせた表情はなんだか拗ねた小さな子供のように可愛らしくて…



私は更に言ってしまった。



「そういう顔するから中学生からまで「カワイー!」とか言われるんです。

正直、先生自分の見た目が可愛い系なの分かってて意識してやってんじゃないの?って見えますよ?

例えばそのワイシャツとネクタイの上からパーカー羽織っちゃうセンスとか、

しかもパーカーの袖が長くて萌え袖になっちゃってるとことか

可愛い弟キャラ狙ってるようにしか見えない。」



私は立ち上がって腕を組む。

先生は明らかに不愉快そう。

でもやっぱり、左の頬がちょっと膨らんで怒っているように見えるのが可愛い。