その時改札の向こうで階段を降りた先生の姿が見えた。

先生も私の姿を捉えて、右手を挙げる。


黒のショートトレンチとデニムに柔らかそうなグレーのマフラーをふわっと巻いた先生の姿はいつもより更にカッコ良く見えて、思わずにんまりしてしまう。



そんな私に気付いたユナちゃんが私の視線を辿ると、



「舞奈の彼氏!めっちゃカッコいい!!」



(あ…)



彼氏に見えちゃうのかな!?見えちゃうのかな!?



嘘は良くないと思いつつも、否定したらカッコ良過ぎる先生のことをユナちゃんが好きになってしまったら困るから、曖昧に笑顔を返す。



「幸せそうな顔して!」

ユナちゃんは私の笑顔の意味をそう捉えて、二の腕にパンチした。



「じゃ私行くね。」

とユナちゃんが手を振り、改札に入って行く。



入れ替わりに先生が改札を抜けてくる。

先生はいきなり私の頭をくしゃっと撫でた。

大きな優しい掌に心が安らぐ。



「お疲れ。行こっか?」



なんかホントにデートみたい。

先生がホントに私の彼氏だったらな…