「…南条」



先生が私を呼ぶ。いつもよりトーンが低い。


「お前さ、大人おちょくんのもいい加減にしろよ。」



(え…)



やにわに先生が私の左肩をぐいと掴む。

その拍子に私はバランスを崩して背後の壁に寄り掛かる格好になった。

壁際に追い詰められた私の顔の真横で先生が左手を壁に突く。

いわゆる壁ドンというヤツ?



でもそれより気になったのは、いつも穏やかにキラキラ輝く先生の大きな瞳が今日は鋭い光を帯びていること…



(先生、怒ってる?)



「俺、お前より年上だし、大人だし、それに教師だし?

可愛いとか言われんの筋違いだから。」



どうしよう…

私は「良い意味で可愛い」と思ってたつもりだけど、でもやっぱり年上の大人の男の人の、しかも先生に「可愛い」は、ないよね…