でも…

ちょっと不安になる。



「…先生、いいの?生徒に個人情報とか。」

「お前だけだし。」

「それ、余計まずいんじゃない?」

「…まずい、かな?」



先生は顎に手を当てて端正な顔をきゅっとしかめ、

「岩瀬先生にバレたらまた怒られちゃうかなぁ…」

なんてぶつぶつ言っている。



そんな先生が可愛らしくてつい、



「先生可愛い。」



と笑ってしまう。



「そういう言い方するなって。」

先生が不機嫌そうに眉を寄せる。



「中学生だって言ってるもん。」

私が反論する。



「中学生は…いいんだよ。」

「なんで?」

私がその不機嫌な先生の顔を覗き込むと、先生は反射的に眼を逸らした。



「…言っても良いヤツと悪いヤツがいるだろう?」



「何それ。私、言ったら悪いヤツなんだ?」

と、口を尖らせる。



「いや、そういう意味じゃ…」

「じゃどういう意味?」

今度は膨れっ面をして見せる。

もちろん本気じゃない。