(!!…ち…近いよ!)



突然、先生の吐息も鼓動も聞こえてきそうな距離になる。

でも私の前には机があるから身動き出来ない。



「え、と…

ここ…空欄に何が入るかっていうので…」

速まる鼓動。

教科書を指す指が震える。



「あぁ、これ?」



耳元で先生の声がする。

甘い声に痺れたように上手く息が吸えなくなる。



(く…苦しいんだけど…)



「これはまず…」

先生が解説を始めるけれど、頭に入ってこない。

いつものように隣に居てくれればちゃんと分かるのに。

嬉しくないわけじゃないけど、これじゃ勉強にはならないよ…



先生の声。

先生の気配。

加速する鼓動。



「構文が当てはまるから…って、聞いてる?」

「き、き、聞いてます!」

「ふぅん…」



一瞬の間。



そして…



「ねぇ。」



と先生が更に体を寄せる。



「!!」