そんなことを思ってふと笑いそうになると、遮るように先生が言った。



「それと俺さ…



そもそも彼女いないから。」



「え…」



夜璃子さんから聞いてはいた。

けど。

先生の口からあえてそんな言葉が出るなんて…

私の胸は再び激しく刻み出す。



「あ、そんなこと南条にはどうでもいいか。」

そう言ってふいと先生は眼を逸らし、手近な椅子に腰掛ける。



(どうでもよくないしっ!)



そう言ってしまってもいいのか迷っていると、先生は別の話を始める。



「模試だったんでしょ、昨日。どうだった?」

「う…それが…

全然ダメで…」

「えっ!?何やってんの!?

もう11月になるんだけど?」

「……」



半分は先生のせい!と叫びたいのを飲み込む。



「ちょっと成績良いからって見くびり過ぎじゃね?」

「……」

確かにあとの半分はそうなんだけど…