(先生…)



『昴と私は「同志」なんだ。』

『昴は今彼女いないらしいから。』



夜璃子さんの手紙の言葉。



だからといって、私がそのポジションを取れるわけじゃないけど、こんな単純なことでさっきまでのもやもやした気持ちが薄まってゆく自分がバカみたいに思える。

そもそもそのもやもやも夜璃子さんや先生に対してじゃなくて、おそらく、もやもやと感じてしまう自分に対してのもやもやで…



でもそんな自己嫌悪さえも今は

「先生を好きだから仕方ない」

と、受け入れられる気がした。



(先生が準備室に呼んでくれた…)



私は手紙と封筒を抱き締めた。

胸の中でそれらがクシャと音を立てる。



次の授業の始まりを告げるチャイムが屋上に鳴り渡った。

     *  *  *