カフェの小さなテーブルを挟んで、私の隣に先生、向かいに夜璃子さんが座る。

直ぐ隣に先生がいるというシチュエーションなのに私の気持ちは盛り上がらない。



「で、研究のどこに興味持ったの?」

開口一番夜璃子さんが尋ねてくる。



「えと…もともと古文とか好きで…

先生の話を聞いて、英語も奥が深いな、と思って…

あの…英語だと更に…国際社会の役に立つっていうか…その…」

唐突な問いに私はしどろもどろになってしまう。



「やめろって。面接じゃねんだから。」

「分かってるわよ。

でもただのあんたのファンの子にはきついわよ?うちの研究室は。

昴だって分かってるでしょ?」

「そんなんじゃねぇよ、南条は。なぁ?」

先生が私に視線を向ける。



「…はい。」

ファンじゃない、って胸張って言えるのかな、私…



「南条はね、俺の妹なの!」

「は?妹?

義兄妹の契りでも交わしたの?劉備かなんかなわけ?昴は。

ていうか、昴の方が弟キャラよね?どっちかって言うと。」

「はぁ…」

先生が溜め息を吐く。

どうも今日の先生は夜璃子さんに調子を狂わされてるみたい。