「南条。彼女は市川夜璃子。

俺の大学の同期で今大学院の修士課程1年。

だいたい俺がやってたようなことを研究してる。」



夜璃子さんが会釈すると、綺麗な髪が肩口からさらさらと零れ落ちた。

堂々とした笑顔。

自信に満ちた、大人の女性の…



あぁ、この人はきっと…

頭の良い、ポリシーのある女性。



先生の、好きな…



夜璃子さんがよく通る声で言う。



「思ってるよりうちの研究大変よ?覚悟はある?」



「…え。」



いきなりの…宣戦布告?



「おい、夜璃子!受験生脅すなって。

とりあえず座ってお茶しよう。お茶。」

先生が直ぐ側のカフェに向かって夜璃子さんの背中を押す。



「ほら南条。」

笑顔で振り向く先生に私は微妙な気持ちで付いていった。