「先生、この匂い嫌い?」



「…嫌いじゃない、ていうかむしろ…」

先生が顔を背ける。



「…き。」



「え?なんて?」



「そんなことはどうでもいい!早く行くぞ!!」



先生は私の手を引いてぐんぐん歩き始める。

私は引っ張られて小走りになる。



「お前、妹のくせに生意気。」

「えっ!妹関係ないよね、今の!?」



先生は更に早足になる。



「早いよ!待ってー!」



でも。

私の心は今、胸の奥から止めどなく込み上げるくすぐったいような嬉しさで溢れていた。



色付いた頬で先生と手を繋いで走っていると、私も今日は道行く人から『制服デート』に見えてたりするのかな?



そんな妄想、先生に申し訳ないかな?



でも妄想くらい、ね?いいよね…?

     *  *  *