南口に着くと5時ぴったりで、でもまだ先生の姿はなかった。

目まぐるしく変わる映像広告の付いた柱の前で先生を待つ。



(早く逢いたいな…)



自動改札に行き交う数多の人の中を、眼が無意識に先生を探してしまう。



約束の時間を5分遅れて、グレイのウィンドウペンチェックのスーツを着た先生の姿をようやく見つけられた。



「ごめん、遅くなった!」

「私は大丈夫。

でもお友達待たせてるんでしょ?急ご!」

「あぁ。」



先生が先を歩き、半歩斜め後ろを私が付いていく。



けど、混み合う夕方の巨大な駅の構内を歩くのは困難で、先生と私の間を次々と人が通り抜け、見失いそうになる。

人波を掻き分けながら必死に付いていくけれど時々先生が視界から消える。