「今日の成果はどうだ?」
先生が訊ねる。
「成果?」
「家庭訪問の感想は?」
「んー?」
私はちょっと考える。
先生がうちに来て、お父さんとお母さんに会ってくれて…
「プロポーズみたい、と思った。」
「ぶっ!」
先生が吹き出す。
「そういうことを訊いてるんじゃない!
結果、外語大受けられることになってどうかってことだ!!」
「なんだ。そんなことか。
嬉しいよ、もちろん。
でも、先生にはいっぱい迷惑かけちゃったけど…」
「そんなことは良い。」
「良くないよ。」
「良いんだよ。
だってお前は俺の…」
先生が言葉を切り、私を振り返る。
水晶が煌めく真っ直ぐな眼差し。
『だってお前は俺の』…
『俺の』何?
先生にとって私は何?
間が期待を煽る。
胸の高なりに目眩がしそうだ。