そんな二人を見て私は無意識に涙が溢れ、頬を伝って膝の上に重ねた手の甲に落ちた。



「舞奈。」



しばらくの沈黙の後、父が私の名前を呼ぶ。



「はい。」

「国大はそんじょそこらの実力で入れる大学じゃない。

お前は受験から逃げたいわけじゃないんだな?」

「はい。

私は…東京の大学に、行きたい!」

「国大に受かれ。」

「!?」

「両方受かればお前の好きな方に行かせてやろう。」

「!!

…お父さん!」

「お母さん、構わないかな?」

「家を出るのはちょっと心配だけど…

でも、いつもあまり我が儘を言わない舞奈がそこまで言うなら、それが良いんでしょうね。」

「…ッ!

おと、さん、おか、さん、ありが…」



涙で言葉にならない。



「わた、し…国大も、外語大も…ぜったい…がんばる…」



母が私の傍に寄って肩を抱いてくれた。



涙の向こうで先生がにっこり微笑み、紅茶のカップを手にするのが見えた。

     *  *  *