「お父さんお母さん、実は私は東京の外国語大学の出身です。

どうでしょう?外語大からでも教職免許は取れますが?」

「先生もご存じとは思いますが、国大教育学部はこの界隈では名門中の名門。

教職に就いた後も国大出身者は学閥がありますので、メリットも多い訳です。

例えば待遇面であったり、昇進であったり。」

「お給料も出世も要らない!

私は誰にも縛られない!自分の為に生きるの!!」

「舞奈、お父さんやお母さんがこうして生きてきたからこそ今のお前があるんだぞ!勝手なことは言わせない!!」



私は父を睨み付ける。

父もまた威圧的な視線を私に投げ、隣にいる母も無言で私を咎めているように思えた。



「南条。」

張り詰めた空気の中、先生が穏やかに話し出す。

「お父さんお母さんは将来、つまり後に続く君やお兄さんのことも考えて国大に行って教師になる、そういう生き方を選択したんだ。

決してそれを否定してはいけない。」

「……」

「でも、その生き方を選択したのもまたお父さんお母さんご自身、ですね?」

「いかにもそうです。」

「はい。」

父と母が口々に応える。



「では舞奈さんにも選択権が有っても良いんじゃないですか?」



「!!」