「大変遅い時間に申し訳ございません。私、菊花女学院の教諭で初原と申します。
…はい、お世話になります。
今、文京台駅の前で舞奈さんにお会いしましてお電話させて頂いた次第です。
迎えに来て頂きたいとは思うのですが、」
「先生!私帰らないってば!!」
私が叫ぶと先生が私の手をぐっと掴み、強く握る。
強い、けれどそれはどこか優しく、温かい。
「迎えに来ては頂きたいとは思うのですが、なにぶん今興奮状態でして、来て頂いても大人しく帰れる感じではないと思うんです。
もし良かったら私が舞奈さんと少し話をしてみようと思いますので、後程落ち着いたら改めてご連絡させて頂こうと思うのですが?
…いえ、私の方は問題ありませんので。
…はい、では少しお待ち頂いて、もう一度ご連絡させて頂きます。
はい、失礼致します。」
スマホを耳に当てたまま先生が一礼し、電話を切る。