真っ赤に染まっているに違いない頬を両掌で覆って立っているのがやっとな私に先生は言う。



「そういう諦めないとこ。

オーストラリア訛りに果敢に挑むとことか。」



「あ…それ…?」



私ってばなんて早とちりを…



「意外と男前で。」



「……誉めてないよね?」



「そう?





俺は惚れちゃうけどな?」





「!!」



(惚れちゃうけどな…って!)



うゎぁ…やっぱり頭の中がぐるぐるする…



「なんか急に暗くなるの早くなってきたな。

南条、そろそろ帰れよ?」



クラクラする私をよそに、
窓に近寄った先生がブラインドの隙間を指で少し開き、外を見ながら言った。



「まだ…大丈夫、だよ。」

なんとかクラクラを抑えて私が応える。





「心配だから。」





先生が真剣な眼で私を振り返る。

ドキン…

じっと私を見つめる鳶色の瞳が幽かに甘く揺れて、私の胸を高鳴らせる。





「親御さんが。」



「…あ…それ…」



今日の先生…

間違いなく悪魔…