緊張していた入学式も何事もなく終わり、
教室では隣の席の子と話すことに成功した。
中学時代、バスケのクラブチームで見たことがあった子。
話しかけてみたらやっぱりそうで、
その子も私を見たことがあって話すきっかけになった。
大垣 馨(おおがき かおる)ちゃん。
しっかりしてそうな見た目とは裏腹に、ちょっとのんびりした可愛い子。
これから仲良くなれるといいな。
帰り際、担任の先生に少しなら部活見学をしてもいいと言われ
早速体育館へ向かう。
一人で行くのは心細いけど…ちょっと覗いたらすぐ帰れば大丈夫だよね。
体育館に近付くにつれて床に当たるボールの音が近くなる。
それに合わせて沢山の声とバッシュが擦れる音。
聞き慣れたその音たちは、何故かいつも私を安心させる。
ドアから顔を覗かせると、近くにいた先輩と目が合った。
「…あ!あの時の!」
目が合ったその人は、合格発表の時に紙を渡してくれた先輩だった。
「来てくれて嬉しいよー!ちょっと見てく?ここ座って座って」
一気にババッと喋ったと思うと、呼ばれてコートに入っていった。
…嵐みたいな人だ。
言われた場所に腰を下ろして見学していると、
沢山のボトルを持ったマネージャーらしき人が近付いてきた。
「…あれ?蓮ちゃん?」
「え?…あ、先輩!」
そこに居たのは同じ中学だった二つ上の先輩だった。
小学校時代同じクラブチームに入っていたから知っている、程度の仲で
申し訳ないけど名前まで覚えてない…。