「制服採寸して、帰ろ」

「ん」



お母さんに促され、
人で溢れ変える体育館で採寸を済ませて家路についた。




四月から始まる新たな生活。


仲の良かった友達は皆進学校へと進んだ。


私も皆と同じ高校に行きたかったな…


まあ、私の実力じゃ到底無理な高校なんだけど…




そんな事を考えてると、携帯から音が鳴った。


画面を見て思わず口が緩む。


同じタイミングで私の事を考えてくれてたのかと思うと嬉しくなる。




【どうだった?】




LINEの画面に並ぶ文字。




【受かった!でも同じ高校行きたかったよー】




慣れた手付きで返信して携帯を置く。


彼女は“なこちゃん”。


同じ中学で、仲良しだったグループの中の一人。


“奈々子ちゃん”がいつの間にか“なこちゃん”に変わっていた。


グループの中でも一番連絡を取り合うなこちゃん。


頭が良くて、可愛くて、優しくて。


なのに変に飾らないなこちゃんが大好きだ。


けどなこちゃんはどうして私と仲良くしてくれるのか…未だに謎。