「もしかして、入部希望?」
私より少し小さな女の子。
…あ、先輩に“子”は失礼かな。
「は、はい」
「本当?やった!はい、これどうぞ」
そう言って渡された黄色の紙。
そこには大きく“ようこそバスケ部へ!!”の文字が。
「待ってるね」
可愛い笑顔でそんな事言われたら、女の私でもコロッといきそうだ。
少し恥ずかしくなった私は
軽く会釈をして、お母さんの所へ戻った。
「…バスケ部?好きだねえ」
手元の黄色い紙をまじまじと見ながらそう言うお母さんに
「誰のせいだよ」と呟いた。
小学校四年生から始めたバスケ。
なにかスポーツでもやりなさい、なんて急なお母さんの提案で
地元のクラブチームに入ることになった。
「お母さんも若い頃は表彰されるぐらいバリバリだったのよ!」
と自慢されるようになったのは、その少し後の事。
初めはルールも分からず上達もしなくて
何度も辞めようと思ったけど、
なんとか辞めずに今日まで続いている。