隣のコートとの境界線
たまたまマネージャー先輩の近くに寄っただけ
なのに、それだけなのに
そんな爆弾発言されたら、意識してしまう
「蓮ちゃんは?どう思う?」
「えっ?あ、あの」
ど、どうしよう…
いきなりそんな事聞かれても上手な返しが見付からない
下の名前も、声も、正直何も知らない
それでも、
…嫌われたくは、ない
「格好良いと、思います」
「本当?生田目に言っとくわ」
「えぇ!?や、それはちょっと恥ずかしいので…!」
そんな私の言葉も、「大丈夫大丈夫」と流して戻っていく
肩越しに感じる視線
気になって男バスの方を向くと、生田目先輩がこっちを見ていた
隣には、さっきまで私の隣に居たマネージャー先輩がニヤニヤしながら立っている
目が、合った
ドクン、と心臓が脈打つ
見ていられなかった
思わず顔を反らしていた
顔が熱い。体が熱い。
背中に神経が集中したみたいに、後ろが気になって仕方ない
ただの憧れ
格好良いなって、思っただけ
皆のアイドルが、私を見てるなんて