「あ、下で呼んでるよ」
「行こうか」
思い出に浸っていると、下からご飯の呼び出しがかかる。
三世帯住宅の我が家は、インターフォンで各家族とつながっていて、用事がある時は、それを使う。
弟はまだ結婚をしていなくて、我が家と同じ広さの家を、一人、快適に使っている。
子供たちにも私にもとても気さくに接してくれ、姪っ子となる娘たちには、とても甘いおじさんで困ってしまう。
今は、お昼の用意が出来たと、お義父さんの声で聞こえた。
病院を経営している我が家の食事の時間は、普通の家庭よりも遅い時間に取る。
この日もいつもより遅くなった。
それぞれの家庭に立派なキッチンはあるけれど、私は、橘君の両親と食事をすることを望んだ。もちろん毎日ではなく、ほとんど週末に一緒に食事をすることが多い。
私が妊娠中の今は、そのほとんどを下の両親のところで食事させてもらっている。
これまでの結婚生活で、料理、手芸、掃除、洗濯の仕方など、たくさん教わった。
それはどれも私の宝物だ。
「よいしょ」
掛け声をかけないと立ち上がれない。
「三回目の出産で慣れたでしょ?」と受付の佐藤さんに言われたけれど、まったく慣れない。ただ、心が安定しているだけだ。
この佐藤さんにもお世話になっている。
佐藤さんは昔の話を持ち出しては、涙ぐむ。そう、あの「賭け」のことだ。
どうしたらいいのか分からなかったと言っては、泣くのだ。
子供たちのことも可愛がってくれ、私は本当にうれしい。
家、と言うより、ビル構造になっている我が家は、エレベーターが備え付けられているが、運動の為に階段で降りる。
すると、子供たちの騒ぐ声が聞こえた。
私はいつもこの声を聞くと、幸せを感じる。
「来たよ~」
中に入ると、菖と杏が走ってくる。
まだおぼつかない足取りと、ままならないおしゃべりの娘たち。橘君が私にくれた最高の宝石たちだ。
それぞれの席について、いただきますという。この瞬間も好きだ。
孫の面倒を見てくれ、自分たちの食事は後回しで、子供たちに食べさせてくれるご両親。
「楽しみをとらないでくれ」と言われたので、私たちはご両親に任せて、食事をする。
「あ……」
「どうした?」
「すごい勢いで蹴られたわ」
「男かな?」
「それだったらいいわ」
橘君は、大きなおなかに耳をあてた。
今は慣れたけど、橘君は誰がいてもスキンシップをとってくる。
恥ずかしくてどうしようもないけれど、言っても止めないので、もう何も言わない。
弟もご両親も呆れて、何も言わなくなった。
今のようにお腹を触ったり、耳をあてたりすることは軽い方で、いつも私を傍に置いて離さない。
自分たちの住まいに戻ると、キスはもちろん、時間を問わずに求めてくることもあって大変だ。
そのおかげで、私は、年子で三人の子を産むことになったのだ。
「行こうか」
思い出に浸っていると、下からご飯の呼び出しがかかる。
三世帯住宅の我が家は、インターフォンで各家族とつながっていて、用事がある時は、それを使う。
弟はまだ結婚をしていなくて、我が家と同じ広さの家を、一人、快適に使っている。
子供たちにも私にもとても気さくに接してくれ、姪っ子となる娘たちには、とても甘いおじさんで困ってしまう。
今は、お昼の用意が出来たと、お義父さんの声で聞こえた。
病院を経営している我が家の食事の時間は、普通の家庭よりも遅い時間に取る。
この日もいつもより遅くなった。
それぞれの家庭に立派なキッチンはあるけれど、私は、橘君の両親と食事をすることを望んだ。もちろん毎日ではなく、ほとんど週末に一緒に食事をすることが多い。
私が妊娠中の今は、そのほとんどを下の両親のところで食事させてもらっている。
これまでの結婚生活で、料理、手芸、掃除、洗濯の仕方など、たくさん教わった。
それはどれも私の宝物だ。
「よいしょ」
掛け声をかけないと立ち上がれない。
「三回目の出産で慣れたでしょ?」と受付の佐藤さんに言われたけれど、まったく慣れない。ただ、心が安定しているだけだ。
この佐藤さんにもお世話になっている。
佐藤さんは昔の話を持ち出しては、涙ぐむ。そう、あの「賭け」のことだ。
どうしたらいいのか分からなかったと言っては、泣くのだ。
子供たちのことも可愛がってくれ、私は本当にうれしい。
家、と言うより、ビル構造になっている我が家は、エレベーターが備え付けられているが、運動の為に階段で降りる。
すると、子供たちの騒ぐ声が聞こえた。
私はいつもこの声を聞くと、幸せを感じる。
「来たよ~」
中に入ると、菖と杏が走ってくる。
まだおぼつかない足取りと、ままならないおしゃべりの娘たち。橘君が私にくれた最高の宝石たちだ。
それぞれの席について、いただきますという。この瞬間も好きだ。
孫の面倒を見てくれ、自分たちの食事は後回しで、子供たちに食べさせてくれるご両親。
「楽しみをとらないでくれ」と言われたので、私たちはご両親に任せて、食事をする。
「あ……」
「どうした?」
「すごい勢いで蹴られたわ」
「男かな?」
「それだったらいいわ」
橘君は、大きなおなかに耳をあてた。
今は慣れたけど、橘君は誰がいてもスキンシップをとってくる。
恥ずかしくてどうしようもないけれど、言っても止めないので、もう何も言わない。
弟もご両親も呆れて、何も言わなくなった。
今のようにお腹を触ったり、耳をあてたりすることは軽い方で、いつも私を傍に置いて離さない。
自分たちの住まいに戻ると、キスはもちろん、時間を問わずに求めてくることもあって大変だ。
そのおかげで、私は、年子で三人の子を産むことになったのだ。