チラチラと腕時計の針に目をやる。
もう45分も経ってるのに。
「…桜庭くん、遅いね」
心が代わりに私の思ってることを言ってくれた。
その通りだ。
いくら寝坊でも遅すぎる。
赤羽くんは、理央から寝坊したって連絡を受けたから、そのことを知ってるわけなのに、それなら理央はとっくに起きてるはずで準備だってしてるはず。
「赤羽くん、桜庭くんから連絡は?」
「…あぁ、そろそろ来ると思うよ」
「そろそろって、いくらなんでも遅すぎよ」
少しイライラしたように玲奈がそう言う。
本当だ。
もしかして…事件とか事故に巻き込まれたとか?
心配になって落ちけない私はまたメガネをカチャっとかけ直す。
「いや、大丈夫だか──────」
「あー!もう我慢できねー!」
赤羽くんが私たちをなだめようとした瞬間、山岡くんが自分の髪を乱暴にくしゃくしゃっとかいてからそう言った。
「…山岡くん?」
「どうしたの」