一人でそんな風に考えていると先生が入って来た。
「今日から、このクラスの担任になります。
皆、よろしくね!!」
教卓の前に立ち、先生が言った。
「…じゃあ、まず隣の人と仲良くなりましょう。二人でお話ししてみて下さい!」
…どうしよう。二人で話すって何を…?
私が戸惑っていることを知ってか、知らずか隣の席の“川島拓也”が話しかけてきた。
「初めまして、俺“川島拓也”!昨日引っ越してきたばかりなんだ!!」
“昨日引っ越してきたばかり”ってことは、この人も友達がいなくて、きっと私以上に不安だよね…。
「初めまして、私は“坂口愛奈”です。」
なんとか、返せたと思い一安心する。
「なぁ、坂口。お前何でそんなに下向いてんの?」
…嘘!?下向いて答えてたんだ…。
っていうか、そういうの言わないでよ…。
「…人見知りしちゃうの。だから、その…」
“その”の先の言葉が上手く出てこない。
どうしよう。嫌な気分になっちゃうよね…。
「坂口!俺とさ、友達になろうよ!!」
「え!?」
思いもしなかった言葉に耳を疑う。
「…ダメなの…?」
さっきまでの態度とは異なり、上目遣いで見てくる川島くんにドキッとする。
「…ダメじゃない」
私の言葉を聞くと、満面の笑みで喜ぶ川島くん。
「これからよろしくな!」
「う、うん。よろしくね!」
小学校に入って、初めて出来た友達。
…すごくうれしいな。