マウンドに立つカイを見て、私は思った。
今…カイの足の甲あたりにボールが当たった…?
そして野々村くんは一塁に進み、セーフになってしまう。
「あの打球痛そうだね?」
「うん…」
水内くんの言葉に、私はただうなづくだけだった。
そして内野手がマウンドに集まる。
カイは足首をひねりながら、帽子を深く被る仕草をしていた。
「大丈夫か?カイ」
「当たったろ?足の甲辺りに?」
一平と幹野の言葉に、カイは少し口元を緩めて顔を上げた。
「大丈夫だっ、ほら戻れっ」
「おうっ…」
そして内野手達は守備位置に戻る。
「宇美〜大丈夫なのかな?何かね、控え投手はいるみたいだけど今日の試合は本道じゃなきゃって、幹野くんが言ってたよっ」
「そうなんだ…」
そんな…だって、あの状態で投げ続けられるのっ?