「ふふっ…そう見える?」
「うんっ、何かあやし~!」
絵美がニヤニヤしながら、私と水内くんを見る。
「ちょっと、水内くんまでっ、何も!何もないよ絵美っ」
「ふ~んっ?」
そう言った私の隣で、水内くんはまたクスッと笑っていた。
水内くん…こないだから一体何を考えて?
私は水内くんの横顔を少し覗きながら、そんな事を思った。
「ほら、咲原さん」
「えっ?何?」
呼ばれて向くと、水内くんはグラウンドを指差していた。
その指先を見ると、
「えっ…」
カイ…
見ると、カイが私達の方を見ていた。
「また僕の事、睨んでるみたいだね?」
「えっ?カイが?」
もう一度グラウンドを見ると、カイはもうベンチに下がっていた。
「水内くん“また”って?」
「あぁ~彼に言ったんだよ、この試合が終わったらもう一度咲原さんをデートに誘うってね?」