試合前の練習で両チームの選手達がグラウンドにいるのを見て、私はカイを見つけた。
「あっ」
「あ~いたっ―!幹野く~んっ!!」
隣の絵美のキンキン声に私は耳を押さえる。
「う~うるさいよっ!大丈夫だよ、絵美のその声ならきっと聞こえてるよっ…」
「そうかな~?あっ!本当だ、気づいてくれた~手振ってる~きゃ~!」
「ははっ…良かったね」
そう言って私もグラウンドに目をやると、
「えっ?」
今カイが一瞬こっちを見たような…?
気のせいかな?
でも…。
そう思ってると、
ウウゥ―――…
試合開始のサイレンが鳴る。