「…元気で?また君が活躍するのを新聞で見るの楽しみにしてるよ」


「そんなすぐに出ねーよ?」


「ふっ」


水内はいつもの爽やかな笑顔をしたかと思うと、急に真顔になった。


「本道がいて良かったよ…」


「…は?」


「君がいなかったら、あんなに恋愛に本気になれなかったよ」


「………っ」


「まぁ…苦い思い出にもなったけどね?」


「水内…」


「じゃあ、いつまでも仲良くっ」


そう言って水内は軽く手を振って歩きだした。


「水内っ!」


「…なに?」


「俺もおまえがいて良かった…」


カイの言葉に水内は少し驚いた後、ふっと笑った。


「じゃっ…」


階段の方へ降りて行った水内の後ろ姿を、
カイは少しの間眺めていた―。