「宇美…」


「……カイ……」


私達の間の空気が少し止まる。


すると野々村くんが、私の方を見て言ってきた。


「よっ、おめでとう」


「あっ…ありがとう…?」


野々村くんは私のとまどった反応を見て少し笑うと、ふぅ―…とため息まじりな息を吐きながら口を開く。


「やっぱり…そういう力が足りなかったのかな俺…」


「えっ…?」


「それじゃ、また二人に会えるの楽しみにしてるよっ」


野々村くんはそう言うと、自分の高校のバスに向かい歩き出した。


「おい!二人じゃなくて俺だけだろーがっ!」


カイの言葉に、野々村くんは後ろ姿のまま手をヒラヒラさせただけだった。


「何なんだ…アイツ…」