必死に涙を拭って前を見ると…
……っ…ヤバイ…カイに見られた気がする。
私の心の中を悟るように、水内くんが口を開く。
「咲原さん…気づいたと思うよ?本道はきっと、君の事一番に見るはずだからね」
「…あっ…」
水内くんの言葉に何も返せず、私は少しうつむいた。
一平に肩を叩かれ、カイはナイン達と一旦ベンチに戻る。
そしてカイ達は表彰式へ移る、そして写真撮影と祝福ムードのまま終えると、スタンドにいた生徒達もぞくぞくと野球部達の出迎えに球場外へ行こうと移動が始まる。
涙は止まったものの…私はまだ動けずにボーッとしていた。
おめでたい事なのに…凄くて…信じられなくて…。
カイが凄くて、何だか胸がいっぱいで、みんなみたいに笑顔で喜ぶ事が出来ない…。