ボールの行方は、一塁線にするどく飛んだがファウルになった。


そしてフルカウントになる。


そして…勝負の行方が次で決まるのか、カイが6球目を投げる。


「ボール!!フォアボール!!」


「ワワァァ――!!」


「ワワァァ――!!」


両スタンドが騒めく。


静かにバットを置く野々村に一平が口にした。


「…打てなかったのか?」


「えっ?」


「それとも………見えなかったのか?」


「……あぁ」


少しふっと笑いながら一平にそれだけ答えると、野々村はファーストベースに走った。


そして次のバッターが打席に入るが、ファーストランナーの野々村は心の中で思ってしまった。


“決まった……”