「あっ…カイ」
「野々村…?おまえ何で?」
「ちょっとな」
するとカイはその場で立ち止まり、少し考え込んでから野々村に向かって言った。
「……偵察か?」
「…ぷっ、ははっ!さっき同じ事聞かれたな」
「はっ?」
「いや、勝ってるみたいだな?」
「そっちこそな?」
「今度会う時は、決勝だといいなっ」
「言われなくてもそのつもりだっ」
そんなやりとりの二人を見て私は思った。
なんか二人笑ってるけど…見えないバチバチを感じる。
ライバルなんだ…この二人。
「それじゃぁ、今度こそ帰るよ」
「おうっ」
野々村くんは、私にも軽く手を振ったので私も軽く頭を下げて送り出した。
カイが野々村くんが帰って行くのを見送ると、私の方を向いた。
「…で?アイツ本当に何しに来たんだ?」
「…さぁ?」
こっちも試合前だし、余計な事言わないでおこうと、私はさっきの野々村くんの話をカイには言わなかった。
「じゃあ、おまえはアイツと何か話してたのか?」