「一平くんすごいね…アイツなんて何も言ってこないよ?きっと何も気づいてない気がする」
「それはどうかな?アイツは分かりやすい時と、押さえてる時があるから本当困る、うちのワガママエースにはっ」
「本当に…」
一平くんの言葉に私がうなづくと、カイが私達に気づいた。
「おい一平!おまえも見ろよっ!」
「あいよっ」
カイに呼ばれて、一平くんもカイの所へ向かった。
するとカイは私を見て、いつもの無邪気な笑顔を向けてきた。
「宇美っ、おまえも見るか?面白いぞ~」
「はっ!?見ないわよ!ゲーム本なんかっ」
「あーそっ?チッ…」
カイはつまんなそうな顔でそう言うと、視線をそらした。
ったく…ゲームであの笑顔かよ。
カイは気づいていないのか、気にしていないのか分からないけど…
こないだの試合以来、またファンが増えてたり、教室前でのざわつきも多くなったことに。
こないだの取材も、小さくだけど新聞に載ってたのに。
何でそんな平気そうなの?プレッシャーとかアイツは感じないの?