「えっ…?」


“俺には”って…


そんなの……


「そんなの…あんただからムキになるんじゃないっ」


「えっ?“俺だから”って…」


しまった…
思わず言ってしまった。


私は恥ずかしくなり、うつむいた。


すると突然、カイは私の手を取って、私の目を見てきた。


「おまえさ…もしかして…」


「えっ…」


私達はまた、見つめあってしまう。


どうしよう…目が離せない。


でも、私の頭の中に浮かんだのは


…水内くんだった。


ダメだよ。


私、彼にちゃんと言わなきゃ…。


私はそう思い直して立ち上がることにした。


「ねぇ!そろそろ静かになってない?いっ…行こうかな私」


「えっ?あっ、そういえば…」


そう言うとカイも立ち上がった。


「じゃあ私行くね!あっ、これノートのコピーだから、一平くんにも渡しておいてね」


「あぁ…サンキュ、駅まで送るか?」


「ううん、この時間ならまだ大丈夫だからっ、じゃあ」