「えっ…?」
るりちゃんは、ブラウン管の中のピッチャーを指差しながらそんな事を言ってきた。
「えっと…お姉ちゃんはプロ野球選手が好きなわけじゃないけど…どうしてそんな事聞くの?」
「だって…お兄ちゃんが言ってたよ?お姉ちゃんが好きなのはピッチャーの人だって」
「え―!?なっ…!」
何で…水内くんがそんな事、
“ピッチャーの人”ってそんなの…カイの事言ってんの?
水内くん…
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ううんっ」
「お姉ちゃんが好きなのは、お兄ちゃんじゃないんだね…?」
「るりちゃん…」
少しうつむきながらポツリとそう言った後、るりちゃんは笑った。
「もう、お姉ちゃん来るの終わりだね?」
「うん…そうだね」
あっという間だったけど、二人と一緒にいるのは楽しかったな。