「あぁ~運んでくれたのは知ってるよ」
「そうだけど、宇美が倒れてから本道が誰よりも早く駆けつけて“宇美っ”て叫ぶし~しまいにはお姫様だっこで運ぶし~女子からはキャー!の連続だったよ~」
「えっ…」
“すぐ駆けつけて、お姫様だっこ”…!?
途端に私は顔が赤くなるのを感じた。
「あ~宇美照れてる、可愛い~」
「なっ!?そんなんじゃないわよっ」
「そういえば、水内くんも駆けつけようとしてたみたいだったけど、本道の瞬発力には負けたみたいねっ」
「…そうなんだ」
「やっぱり、本道にとって宇美は特別なんだねっ」
そんな絵美の言葉に、私は数秒前のような“そんなんじゃない”なんて…否定出来なかった。
“特別”
その言葉がやっぱり嬉しかったのかもしれない。
本人に言われたわけじゃないのにな…。