「うん、それじゃ…」


水内くんにそう言うと、私は図書館を出て屋上に向かった。


「寒いな…」


ふとグラウンドを見ると、いつも通り野球部にギャラリーがいるのが見えた。


「バレンタインのせいか、今日は一段と多いな…」


はぁ―…


その場で私はボーッとしてしまう。


気がつけば、暗くなって寒さも限界になってきた私は帰る事にした。


帰ろうとすると、下駄箱で練習着を着たままのカイに会った。


カイは何やら自分の下駄箱を覗いてるように見えた。


「…あんた何してんの?」


「うぉっ!おまえこそ…何してたんだよ?」


「ちょっと、何でもいいでしょっ」


私は、自分の靴を履きながらカイに向かってそう言った。


「あんたまさか…何個入ってるか確かめてんの?」


「はっ?なっ…何が?」


あきらかに動揺したカイをからかうように、私はカイの下駄箱を覗く。