その時、


「……本道?」


カイが呼ばれ、私達は振り向く。


「……野々村…?」


カイに声をかけてきたのは、準決勝で戦った杉崎高のピッチャー野々村くんだった。


「おまえ何でここに?杉崎高からはちょっと離れてるんじゃ?」


「あぁ、俺はちょっと離れた所から通ってるんだ、推薦で入ったからなっ」


「あ~そっ、嫌味かよ?」


「いや別に、あっ…へぇ~」


んっ……?


野々村くんは私を見てきた。


「いたんだ?彼女」


「はっ!?ちげーよっ」


「そうっ!違う、私達は別にっ!」


私達はさっきの事があったせいか、いつもよりも否定していた。


「へぇ~てっきりそうだと」


野々村くんはニヤッとしながら、そう言ってきた。