「帰ろっか」

咲良君の背中がどんどん遠くなっていく。

嫌だ。そうじゃない。いかないで。

私は、走り出していた。

「咲良君!違うの。私は、咲良君の事をもっと知りたい。
お願いだから帰らないで...」

頭で考えるよりも先に、口が動いていた。

「うん!今回は、帰りません。僕に甘えてくれて嬉しいよ」

顔がかぁーと熱くなっていくのを感じた。

心臓もバクバクと波打っている。

昔感じたことのある感情が溢れだしてくるような

懐かしい気持ちがした。

なんだったかな...