よく見ると年賀状には『引っ越ししました』と書かれていて、この前の年に石川県に引っ越したということになるようだった。

手を繋いで一緒に写っている写真をもう一度見る。

唯月くん……いつきくん……

んー、あ! いっくん!

じーっと見ていたから、微かに記憶が呼び起こされる。

この写真の唯月くんと絵を描いている姿が脳裏に浮かんだ。


『いっくん、電車?』


『うん』


『そこに実里も乗せて』


『うん、いいよ』


私は『いっくん』って、呼んでいた。いっくんは電車が好きでいつも電車の絵を描いていた。

そういえば、もしかして……

手紙が入っていた箱を探ると、下の方に半分に畳んだ紙が入っていた。

そこには電車に乗った私と唯月くんが描かれている。唯月くんが小さく二人を描いてくれた。かろうじて、人間だと分かるくらい小さい絵だけど、これは確かに私たちだ。

『実里ちゃんにあげる』と言うから、自分を書いてくれたことが嬉しくて大事にしまっておいた。


やっぱり唯月くんが今どうしているか気になる。

手紙出してみよう。